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外資系勤務の26歳が書く娯楽感想記。

【映画】孤狼の血 感想 ※多少ネタバレあり

 ※公式サイトより。

 

 

はじめに

昨年の秋くらいに特報で発表された本作。こういうヴァイオレンス映画は好きだし、役所広司松坂桃李江口洋介など豪華俳優陣が出演していることもあって、大変注目していた作品です。

その作品を公開日の5月12日に観てきましたので、早速感想を書いていこうと思います。

 

 

 

 

感想

1.しっかり練り込まれた2時間のストーリー

まず、これはただの警察VSヤクザの話というわけではない。不良警官の大上(=役所広司)とバディを組んだ日岡(=松坂桃李)が、一人前のマル暴になる経過も同時進行していく。つまり、刑事VSヤクザを描くと同時に日岡の成長も描かれるのだ。

最初はただ真面目だけが取り柄の日岡が、大上を見ていくにつれて一人前のマル暴として進化していくのがよく分かるストーリー構成となっている。

その他、大上に協力するクラブ梨子のママ(=真木よう子)や銀次(=ピエール瀧)の背景もしっかりと描写される。そういった人間ドラマを含んでいるのが、2時間飽きさせず魅せられていく。

 

昭和63年の広島県呉原(架空の街)で繰り広げられる尾谷組と五十子会という2つの暴力団の抗争は、今に始まったことではない。そこから14年前に更に大きな抗争を引き起こしているのにも関わらず、今また再戦する直前へと迫っていた。抗争が起きてしまえば多くの血が流れ、死傷者が出てしまう危険がある。何としてでも抗争を避けたい大上は尾谷組若頭の一ノ瀬(=江口洋介)や、五十子会会長の五十子(=石橋蓮司)に危険な交渉をしかけたり、放火や窃盗・拷問といった違法捜査も行う。

こういった場面は観ている側も大きな緊張感を生じる。そして本作は緊張と緩和のバランスが本当に上手いので、観賞後にドッと疲れるということも無い。この絶妙なバランスは、本作をとても面白い作品へと仕上げていったと思う。

 

 

 

2.大上の刑事精神を学ぶ日岡の成長シーン

大上の刑事としての在り方とヤクザたちへの向き合い方を、新任刑事の日岡が時間経過とともに吸収していく師弟ドラマの一面もある。

大上は刑事としてのゆるぎない精神を頑固として持っている。だが、それを他人には見せようとはしない。大上にとってそれは刑事として最も当たり前のことだと思っており。いちいち自分の口から言う必要はないからだ。

超がつくほど真面目な日岡は最初は全く大上のことが理解できず、歩み寄ろうともしなかった。そんな日岡に、大上はどこかで日岡に対して立派な刑事になるだろうという期待と確信を持っていたと思う。それは、日岡に対してぶっきらぼうに接する大上だが、大上は興味のない相手に対しては完全にそっけなく見放しているところがある。しかし、日岡に対しては感情をあらわにして怒ったり、日岡の意見に対して諭すように状況説明をしているからだ。

大上はもし自分がヤクザへの捜査が出来なくなってしまった時は日岡に継いでほしいという密かな期待を持っていたのではないかと考える。

確かに、観ている側からすれば、大上と日岡は根本的なところが似ていた。日岡が大上に歩み寄ったときは既に時遅しだったが、そこから日岡の覚醒と急成長が観られる。

ラストシーンはそれまで以上に緊張感があったが、日岡の行動に爽快感を感じられた素晴らしいシーンだったと思う。

 

 

 

3.ヤクザの怖さも外すことなく描写

本作を語る上で外せないのがヤクザ。特に、一ノ瀬と五十子のキャラは相当たっていた。

一ノ瀬は五十子会に自分たちのシマを荒らされて噴火寸前の状態。しかも尾谷組は14年前の抗争で組長が逮捕されており、実質のトップは若頭の一ノ瀬。その重圧も彼に重なってることもあり、五十子会の上層部に制裁を加えたくてしょうがない。

一方の五十子はそんな一ノ瀬を相手にせず、着実に尾谷組のシマを乗っ取っていく。歴戦を勝ち抜けていった将兵の余裕を見せつける。

感情的な一ノ瀬と飄々とした五十子。対極に位置するこの2人が本作を盛り上げてくれた。

 

 

 

4.豪華俳優陣

作品内容とは離れるが、日本きっての豪華俳優陣が出演しているのが最初ビックリさせられた。先に紹介したキャラの俳優陣のほかに、竹野内豊滝藤賢一伊吹吾郎中村獅童なども出演している。

このラインナップを見たときは正直驚いたし、東映の本作に対する本気度を伝えられた。

 

 

 

5.この映画を観てほしいその理由

暴力とエロというかなり男臭い内容は、今の時代とは逆行しているように思える。しかし、こういう血なまぐさくて生々しい映画を求めている男は決して少なくないはず。私もその一人だった。

最近の邦画は優しくてさわやかな作品が多い。それが今求められる映画なのかもしれないが、こういうヴァイオレンス映画を少なくとも年に1回は大々的に制作してほしいと思うのだ。

R-15指定の大人な映画だが、毛嫌いせずに観てほしい。何故なら、東映の本気を感じ、表面的な一面しか見ようとしない割に他人の影響を受けてブレまくりの現代人に対するメッセージを、本作は観客に伝えてくれる。

 

 

 

 

最後に

どうやら続編の制作決定の話題が出ているが、私はこれでまずは完結で良いと思う。それくらい本作は上手にまとまっていた。とはいえ、続編が発表されたら大喜びするんだろうという自分がいるので、少し複雑な気持ちである。